女性スタッフ日誌：「お父さんとお母さんの子供になってくれてありがとう」

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女性スタッフ日誌：「お父さんとお母さんの子供になってくれてありがとう」

2020.07.07

まだ小さなお子様のお見送りをお手伝いさせていただきました。

小さな身体で難病を抱え、苦しくつらい日々が多かった中、ご両親の前では決して弱音を吐かず、笑顔で前向きに日々を過ごしてこられたとおうかがいしました。

遺影写真は、少し照れたようなあどけない笑顔の故人様。
祭壇は生花祭壇をベースに、色とりどりのバルーンアートで出来た祭壇を用意させていただき、お子様らしい祭壇に大変喜んでくださいました。

ご両親をはじめご遺族様方が、故人様のお柩に入れてあげたいもの等、生前お好きだったものをたくさん胸に抱えてお持ちになりました。

私共スタッフにて棺より大きなテーブルに、大好きだったキャラクターのぬいぐるみを小さな物から抱える程に大きな物まで数えきれない程並べさせていただき、折り紙で折られた数々のキャラクターや手作りの首飾り、ジュースやお菓子なども一緒にお柩を囲むように飾らせていただきました。
その中からいくつかご遺族様にお選びいただき、故人様が寂しくならないようご納棺の際にお一人ずつお柩の中へ入れていただきました。

「家族だけでゆっくり見送ってあげたい」
と、ご遺族様のご意向でしたが、ご葬儀当日に故人様が通われていた学校関係の方々が数名お参りに来られました。

「どうしても渡したいものがあって…」
と、学校で使われていたというカスタネットや小さなタンバリン、そして、学校で学んだたくさんの音楽を先生が故人様のために収録してくださった1枚のCDをお持ちになり、ご両親へ渡されました。
そのあたたかく想いのこもったプレゼントに、ご両親は涙を堪えきれず何度も頭を下げられ感謝を伝えられました。

せっかくなので…と声を掛けCDをお預かりし、式場内に流させていただきました。

故人様にカスタネット等を見せられ、リズムよく鳴らし始めたお母様。
「○○ちゃんの好きやった歌よ～、聞こえる？良かったね～」
と故人様に声を掛けられ、カスタネットを使い音楽に合わせ歌い始めました。

慈しむような表情で故人様を見つめ、涙を溢されながら故人様に伝わるように歌うお姿はいろいろな想いが伝わってくるようで涙が滲むほど胸が痛む思いでした。
まわりにいらしたご遺族様も涙を溢され、静かに思いを馳せておられました。

最後のお別れの時間では、ご遺族様は涙でいっぱいで泣き崩れそうになりながらも、故人様のお顔に触れ
「がんばったな」
「もう苦しまんでいいよ」
「おつかれさま」
と労われました。

しばらく故人様のお顔を見つめ、涙が止まらなかった皆様。
「お父さんとお母さんの子供になってくれてありがとう」
「幸せやったよ」
と、涙を堪えながら精一杯の笑顔で感謝の想いを伝えられました。

霊柩車に故人様をお乗せした後、霊柩車のまわりを囲むように皆様に並んでいただきました。

祭壇に飾られていた色とりどりの風船を手に持たれ、みなさまの想いを風船に託し、晴れ渡る空に向かって一斉に放たれました。

風に乗って舞い上がる風船が空の向こうに見えなくなるまで空を見上げるみなさまのお顔は悲しみの涙ではなく、心が晴れるかのような表情になっておりました。

片時も離れることなく共に過ごされたかけがえのない時間は、家族の絆を生み、つらい闘病生活の中にも思いやりと愛に溢れた日々であったであろうと感じます。
我が子に先立たれたご両親のお気持ちを思うと胸が詰まる思いですが、お子様が「もう苦しい思いをしなくてすむ」というホッとした安堵の表情もご両親から窺えました。

共に支え合い頑張ってこられたご家族様と、支えてくださった方々の想いが込められたとてもあたたかなお見送りでございました。