女性スタッフ日誌：「祭壇が可愛らしくて、お母さん愛らしいわぁ」

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女性スタッフ日誌：「祭壇が可愛らしくて、お母さん愛らしいわぁ」

2020.06.17

大正生まれの女性で103才の大往生を遂げられた故人様。
喪主は娘様がお務めになりました。

お式が始まる随分前に、1人祭壇の前に座っておられた喪主様に声を掛け、遺影写真は10年程前に撮られたお写真だとおうかがいしました。
型にはまっていない、故人様の生前のお姿そのままの自然体なお写真でした。
「お母さんらしいお写真でいいですね」
と声を掛けたら
「そうよね。服を着せ替えてもらおうか悩んだけど、そう言ってもらえて嬉しいわぁ。このままで良かった」
と遺影写真を見ながら微笑まれました。

お柩の中で眠っていらっしゃる故人様のお顔を覗くと、103才とは思えないほど若々しくとても安らかなお顔をされていました。
いつのまにか側にいらっしゃったご遺族様に気付き、お顔を見ていただきながら故人様の安らかなお顔の話をしていたら
「とっても元気がよくてね、110才は生きるって思ってたけど…でも本当に顔も痩けてないし綺麗な顔してる…」
とお話ししてくださいました。

続々と式場にご親族様が到着され、久しぶりに故人様と再会されたお孫様は
「おばあちゃん変わらんやん！」
と喪主様と一緒にお話しされていました。

少し離れたところからそのお姿を見ていた私にご遺族の方が
「これを柩に入れてください」
と、1本の掛け軸を持ってこられました。中身を見せていただくと、写経された掛け軸でした。

「うわぁ、すごい」
と心の声を漏らしてしまった私に
「お母さんが書いたんだよ」
と教えてくださいました。
あまりに感動してしまい、皆様の目に触れることなくこのままお柩の中に入れてあげるだけではもったいないと感じてしまい
「せっかくなので、良かったら皆様にも見ていただけるよう飾らせていただいてもよろしいですか？」
と声を掛けさせて頂きました。

スタッフと協力しお柩の横に2mはある大きな掛け軸を飾らせていただいたところ、ご親族様が集まってこられ、作品を眺めては
「すごいなぁ」
と感動の声をあげられていました。
「柩の中に入れるのがもったいない気がしてきた…」
とご遺族様がポツリと一言。

皆様が故人様の作品をご覧になって話しが弾み、喪主様は
「みんなが褒めてくれよん」
と、とても嬉しそうなご様子で思わず笑みがこぼれる微笑ましい雰囲気に変わりました。

お式が始まるまでの間、家族ぐるみで親交のあった方々がお参りに来られると、喪主様は
「顔見てあげて」
と声を掛けられては思い出話しに花が咲いておりました。

故人様に
「お疲れさまでした」
と声を掛けられ、祭壇をご覧になって
「祭壇が可愛らしくて、お母さん愛らしいわぁ」
と呟かれ、まわりにいた方々は
「うん、うん」
と頷かれていました。

お式は滞りなく進み、お式の最後に喪主様より御礼のご挨拶がございました。
故人様のお側でずっとお世話をされていたという喪主様。
参列された皆様のお顔を見ていろいろな思いが駆け巡ったのでしょう、涙で言葉を詰まらせながら
「皆さんにいっぱい可愛がってもらって、私もようやく肩の荷がおりました。ありがとうございました」
とご挨拶されていたのが印象的でした。

最後は写経された掛け軸とともに祭壇の色鮮やかなお花を皆様の手でお柩の中へ入れていただきました。
花に囲まれた故人様を見て喪主様は
「美しいなぁ」
と呟かれ,、皆様涙を浮かべながら故人様との別れを偲ばれました。

火葬後戻って来られた喪主様より
「意外にもいろんな人がお参りにきてくれて…いろいろと良くしてもらって本当に満足。どうもありがとう」
とありがたいお言葉をいただけ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。